ダルビッシュ、なぜ勝てない。斎藤隆「周りに言えない理由を何か持っているのか」

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 しかし、ダルビッシュに牽引されたパドレスは白星を重ねる一方、ナ・リーグ西地区ではそれ以上に好調なチームがあった。ドジャース、パドレスを抑えて抜け出したのはジャイアンツで、9月13日には両リーグ最速でプレーオフ進出を決めた。かたやドジャースはワイルドカード争いの2枠のひとつに入ることが有力で、パドレスはセントルイス・カージナルス、シンシナティ・レッズと僅差でもう1枠を競っている。

 そんな厳しいチーム状況のなかで、ダルビッシュは不調に苦しんでいるのだ。

「自分自身に関してはすごいフラストレーションを持ってる。切り替えてまた明日いくしかないかなと思います」

 13日のジャイアンツ戦で敗れたあと、そう話した(翌日の『デイリースポーツ』電子版より)。

 満足いく投球ができない胸の内は、本人しか知る由はない。チームと自身の現状を踏まえたうえで、今季予定される残り3回の登板と、来季に向けてどんなことを考えていけばいいのだろうか。

「難しいですね。そこはダルビッシュの野球に対する考え方や、チームでの立場など、中にいる人しかわからないことがたくさんあります。今、来季に関して考えるのは違うでしょうし。でも人間ですから、来季のことだって当然、頭にあると思います。万全な状態にしたいのは間違いないでしょうが、状況がそれを許してくれない。複雑な感情が湧いているのではないでしょうか」

 ダルビッシュの心境を察した斎藤氏自身、その表情は曇っていた。

 では、プレーオフ争いが佳境を迎える今季レギュラーシーズン最終盤で、ベテラン右腕にどんなことを期待すればいいだろうか。

「今年はチームとして優勝を目指すことも含め、気持ちの入り方が例年とは違ったと思います。ただし、万全ではない状態でマウンドに上がってチームに貢献できるほど甘い世界ではないことも、本人が一番わかっているはず。自分のマウンドに曖昧な状態で立っていることだけにはならないでほしいです」

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