筒香嘉智が3球団目で成功した理由は? メジャーを渡り歩いた斎藤隆が分析 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 メジャーは10を超える連戦も珍しくなく、さらに試合が決着するまで延長戦は続く。移動距離も日本とは比較にならない。加えてマイナーとなれば、環境的にはもっとタフになる。

 そうした背景が筒香にどんな影響を与えたかは定かでないが、ドジャースとマイナー契約を結んで渡米した斎藤氏が実体験からこう語る。

「マイナーでは一般のお客さんと同じ空港で乗り換え、平気で3、4時間待つこともあります。挙句、エンジンの調子が悪くて飛行機が1時間遅れることも普通にありました。球場に着いたら審判がいなくて、監督が横から『ストライク』『ボール』と言っていることもありましたね。ダブルA(2A)やハイA(1A)だとバスで5、6時間移動して、仮眠して朝から試合をやることもあります」

 一方、メジャーリーグはチャーター機による移動で、時間自体はかかるものの、公共交通機関を使う日本よりはるかに快適という声もある。どちらがラクかは個人差も関わってくるが、斎藤氏は日本との違いについてこう話す。

「メジャーだけで言えば、神経質かどうか、というくらいです。すべてを受け入れられるか、と言うか。たとえば、移動中に大騒ぎしている選手もいるなか、平気で横になってリラックスしたり、音楽を聴いたりできるか。そういう神経の図太さを持ちながら、グラウンドでは異常なほど繊細さを求められる世界です。そのとんでもないギャップは、日本の比ではないですね」

 アメリカやアジア、中南米から選手がやって来て、各地を転戦しながら試合を繰り返す。最高峰の相手との対戦が続き、メンタル的なタフさを求められ、オンとオフの切り替えが必要になる。

 とりわけ筒香が所属したレイズとドジャースは、どちらも地区で1位、2位を競っている球団だ。レイズはデータ活用を元にした守備シフトやブルペンデーなど、野球の"合理化"が最も進んでいるチーム。一方、ドジャースは球界最高峰の資金力をバックに大物選手を揃えている。

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