大谷翔平の改善された投球メカニクスに驚き。斎藤隆「4球くらいで打者をアウトにとれるイメージ」 (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

「そういう声が聞こえてくるのはわかりますけど、僕の勝手な想像では、サイ・ヤング賞はとてもタフな人たちがとっている印象です。そういう意味では二刀流をしていると、どうしてもイニング数に少し寂しさを感じます。ピッチャーに専念すれば、間違いなく可能性はあると思いますが」

 今季ここまでの投球回数は大谷が115回1/3に対し、同じア・リーグでサイ・ヤング賞の候補に挙げられるコールは163回2/3、ロビー・レイ(トロント・ブルージェイズ)は170回1/3、クリス・バジット(オークランド・アスレチックス)は151回。ナ・リーグを見ると、ウォーカー・ビューラー(ドジャース)は186回、ザック・ウィーラー(フィリーズ)は195回1/3に達している。斎藤氏が言うように、投手として最高のタイトルを狙うには物足りなさが残る。

 ただし、イニング数に表れる"寂しさ"は、同時に別のものに光を当てている。それが、斎藤氏の見方だ。

「今のイニング数は、二刀流ゆえの数字です。逆に今の大谷にとって、称賛すべき数字だと思うんですね。本来であれば、『二刀流の新しい指針を大谷がつくっているのでは』という見方さえできる。

 固定観念さえも壊してしまうのでは、という面白さがありますよね。メジャーリーグで日本人がそれをやっているのは、痛快でたまりません」

 長いMLBの歴史を振り返っても異彩を放つ大谷は、果たして今季どんなフィナーレを迎えるのか。永遠に語り継がれるこの1年がどう終わるのか、目を離せない試合が最後の最後まで続く。

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