大谷翔平の改善された投球メカニクスに驚き。斎藤隆「4球くらいで打者をアウトにとれるイメージ」 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 大谷は長身から投げるのでファストボールに角度があるわけですが、ほかのボールも同じ角度で入ってきて落ちる、曲がる。バッターが真っすぐに対して目線を合わせるなか、逆にその軌道を使って変化球を投げます。

 しかも、どの球でも三振をとれる。大谷のなかでは、4球くらいでバッターをアウトにとれるイメージで投げていると思います。すごくシンプルですが、とてつもないことをやっています」

 投球メカニクスが改善されて1球ごとの質が高まり、先発のマウンドに立てば1試合トータルでパフォーマンスを発揮できるようになった。そうしたハイレベルの投球を継続しているから、9勝2敗という好成績が残り、さらに二刀流としても躍動できている。

 特筆すべきは、23盗塁を記録している点だ。投げて走るすごさについて、投手視点で斎藤氏が語る。

「ピッチャーがボールのスピードを求めると、自分の体重に筋力をつけて、自重がよりかかるようにします。指先の反発と言いますか、ボールを離す力を強くしたいために、筋力をつけていく。そうすると体重が重くなるので、走ることは二の次、三の次になります。

 でも、大谷は盗塁数が物語っているように、ピッチャーとしてだけでなく、野手としても、スカウトが言うところのすべての"ツール"を使いこなしている。恐ろしいと言いますか、本当にすごいものを見させてもらっています」

 誰も想像できなかったことをやってみせ、「マンガの世界を超越した」とまで言われた。だからこそ周囲は大谷に夢中になり、さまざまに議論し、憶測を飛ばしている。

 その内容は「投手に専念すべきだ」という起用法に及ぶものから、2023年オフにFAになったらどれほどの大型契約を勝ち取るかというものまで、メディアの報道は多岐に渡る。たとえばESPN電子版は、エンゼルスは先手を打ち、今季終了後に年俸55億円の契約更新を結ぶのではと報じた。

 現実として本塁打王争いでトップの座を争う一方、サイ・ヤング賞の可能性は果たしてあるのか。アメリカの各メディアでさまざまに語られるなか、斎藤氏はこんな見解を持っている。

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