懐疑的→最高へ。筒香嘉智への地元メディア評が一転。さらなる飛躍のカギはマズい姿を見せた守備にある (3ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

 8月28日、パイレーツは正右翼手で生え抜きのグレゴリー・ポランコをリリースした。今季が5年契約の最終年であったポランコは、2018年の打率.254、23本塁打、81打点という成績をピークに年々下降の一途を辿っていた。今季は107試合の出場で打率.208、11本塁打、36打点と不振のままで過ごし、チームは契約の満了を待たずリリースすることを決定。外野の守備枠がひとつ空いたことで、筒香には出場機会を増やせるチャンスが巡ってきたのだ。

 しかし筒香は、サヨナラ打を放った8月29日のカージナルス戦のライトの守備で、フェンス際の飛球のクッションボールの処理を誤って三塁打にしてしまう場面があるなど、いい印象を与えられなかった。本拠地PNCパークの右翼はフェンスが高く、フィールドも狭いため守備が難しいと言われている。シェルトン監督も「難しいポジションだ。この場所でプレーするほど、彼の実力は上がっていくだろう」と筒香を擁護し、引き続きチャンスを与え続けることを示唆している。

 現地では、筒香はファーストの守備が高く評価されているが、パイレーツにはコリン・モランがいるため一塁手としての出場は限られると見られている。筒香が今季終了までに右翼での守備力を上げることができれば、パイレーツのみならず他球団に対してもアピールができ、チャンスがさらに広がるはずだ。

 地元メディアはチーム方針や筒香の年俸(今季は5月まで在籍していたレイズが負担)のこともあるため、来季以降については「予想ができない」と話すが、「もし筒香が残ってくれるのであれば、是非とも来季もパイレーツの一員としてプレーしてほしい」と願っている。

 一時、崖っぷちに立たされていた筒香は、パイレーツ加入からわずか2週間ほどで現地メディアの評価を一気に覆した。今後も打撃力を維持し、複数のポジションで通用する守備力を証明できれば、複数のメジャーが興味を持つ選手になるかもしれない。

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