2021.08.22

大谷翔平のサイ・ヤング賞は極めて難しい。無双ピッチングで候補と言われるもその理由は?

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 これで大谷は投手として7連勝となり、今季8勝目(1敗)。防御率も2.79まで下がり、前述した6月30日のヤンキース戦以降、2失点以上はゼロというほとんど無双のピンチングを続けている。

 また、8イニングを投げたことで「100イニング」に到達。いよいよ2ケタ勝利も視野に入り、タイガース戦後には現地メディアから「大谷はサイ・ヤング賞の候補になる可能性も出てきたのではないか」という質問がジョー・マドン監督に飛んでいた。

「(サイ・ヤング賞争いでも)候補にはなるだろう。すべての賞の候補になる。三冠王はとらないとしても、他のすべては候補だ。今夜の活躍で、さらに注目されることになるのではないか」

 マドン監督はそう述べ、老舗の『ロサンゼルス・タイムズ』は「大谷翔平はMVPとサイ・ヤング賞を獲得するのか?(Shohei Ohtani for MVP and Cy young?)」という記事を発信。そんな背景もあって、今後の大谷の投球はこれまで以上に注目を集めるのかもしれない。
 
 ここで現実的なことを言っておくと、少なくとも現時点で、大谷がサイ・ヤング賞を獲得する可能性はそれほど高いとは思えない。

 7月以降の大谷は防御率1.58という圧倒的な投球を続けており、「後半戦のベストピッチャー」という声が挙がっているのは事実だ。100イニング以上を投げているア・リーグの投手の中で、防御率3位、FIP(※)で4位、K/9(奪三振率)でも7位と、さまざまな指標で軒並み優秀な成績を残している。アメリカのスポーツ記録サイト『Baseball-Reference』のWAR(打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価した貢献度)でも5位であり、サイ・ヤング賞候補に挙げられてしかるべきではある。

(※)ピッチャーのみの責任となる奪三振、与四死球、被本塁打、投球回数をもとに、そのピッチャーの能力を測る指標

 ただ、問題はここまで18先発機会で100イニングしか投げておらず、今季終了時点で既定投球回数の162イニングにも到達しないであろうことだ。かつてデニス・エカーズリー、エリック・ガニエといった支配的なクローザーが、少ない投球回数でサイ・ヤング賞を受賞したケースはあるものの、先発投手は相応のイニングを稼ぐことで候補になってきた。