大谷翔平の「現状には不満足です」。元メジャースカウトが提案する新たな二刀流への挑戦 (3ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Getty Images

 一方でピッチャーに専念すれば、サイ・ヤング賞とともに、まだ見ぬ大谷の姿を見られると小島は確信している。

「彼の能力からすれば、今は60〜65%ぐらいの実力しか出せていないと思います。自分の思いとパフォーマンスにズレがあって、ものすごくジレンマを感じているように映るんです。だから、バッターボックスとマウンドでの顔がまったく違う。そこが同じになったら、とんでもないピッチャーになると思います。5日に一回投げて、シーズンを通して30〜35試合登板する姿を見たいですね。そのなかで、かつてシカゴ・カブスに所属したケリー・ウッドが1998年に達成した20奪三振のような記録を、大谷ならつくれると思います」

 ピッチャーとして成熟期を迎えるのは、年齢で言えば30歳前後から35歳ぐらいまで。若い頃に比べれば体力は落ちるが、それをカバーできるだけの経験と知識が備わり、たしかな結果を出すのがその年齢だと小島は言う。

「大谷は来年28歳ですよね。年齢的には、ピッチャーに専念すればグングンとピッチングの精度が上がっていく時期です。ただ、今の大谷はピッチャーとしての経験がものすごく少ない。だからこそ、今ピッチャーに専念してほしいという思いもあるんです。

 そうすれば体つきも変わってくるはずです。人の体というのは、環境や状況に対応していくもの。急には変わらないかもしれませんが、やり続けることでかつてのような柔軟性も出てくると思います」

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