大谷翔平のアッパースイングは理想的。アッパースイングが流行した背景と断トツ1位のデータ

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

福島良一「MLBコアサイド」

 1973年の初渡米から48年にわたってメジャーリーグの造詣を深めてきた福島良一氏に、さまざまな魅力を伝えてもらう「MLBコアサイド」。今回はホームランを量産する大谷翔平選手のスイングについて、いろんな角度から語ってもらいました。

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ホームランを量産する大谷翔平のアッパースイングホームランを量産する大谷翔平のアッパースイングこの記事に関連する写真を見る 東京オリンピックに日本中が歓喜に沸くなか、メジャーリーグではロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の活躍が止まりません。8月9日現在、37本塁打でア・リーグのホームランキングを独走し、エンゼルス史上初となる2カ月連続(6月・7月)月間MVPを受賞するなど、その爆発ぶりは金メダル級です。

 いまや試合を休んでもニュースになるほど、大谷選手の一挙手一投足は注目を集めています。地上波のニュース番組でも連日報じられたことで、普段あまりメジャーリーグの試合を見ない人も彼の活躍ぶりを目にする機会が増えたのではないでしょうか。

 そこで多くの人の目に止まって驚いたのが、大谷選手のあの豪快なスイングでしょう。相手の豪速球をいとも簡単そうに弾き返し、ボールをスタンド上段まで次々と放り込んでいくバッティングは、これまでの日本人選手とは一線を画しています。

 視聴者の度肝を抜く大谷選手のアッパースイング気味のバッティングは、野球関係者の間で議論の的にもなりました。アッパースイングは理想的な打ち方か否か、肯定派と否定派に分かれてさまざまな意見が飛び交かったのです。

 メジャー最後の4割打者で、「打撃の神様」ことテッド・ウィリアムズ(元ボストン・レッドソックス/2002年没)は、かねてから「アッパースイングこそ完璧なスイング」という理論を主張していました。彼は『バッティングの科学』という有名な著書を残すなど、スイングについて一家言を持つレジェンドです。

 その一方で、メジャー関係者には「アッパースイングは理想的な打ち方でない」という否定派も多かった。「レベルスイングがライナー性の打球をもたらす」と考えられていたからです。しかし、2015年にMLBが導入したデータ解析システム「スタットキャスト」によって、その考えは一変しました。

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