MLBで川﨑宗則、西岡剛らとプレー。イスラエル代表・バレンシアが語る自国と日本の野球 (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 イスラエル代表チームについて、バレンシアは次のように語る。

「中継ぎ陣が強くて、守備力のいいチームです。それに打撃面は粘り強いです。パワーがないので、細かい野球に徹しなければなりません。そういう意味では、日本に似ているかもしれません。野球というのは、強いメンバーを揃えたからといって勝てるわけじゃありません。チーム力が大事なスポーツです。ですので、イスラエル代表にも十分可能性はあると思います」

 バレンシアがイスラエル代表チームを日本と似ていると言ったのには、ちゃんとした理由がある。

 2011年、メジャー2年目のバレンシアは、ミネソタ・ツインズに入団した西岡剛とチームメイトになった。その時の西岡のプレーについて、バントをしっかり転がしたり、エンドランがうまかったり、基本がしっかりしている選手の印象を抱いたという。

しかし、それと同時に、開幕してわずか6試合目でランナーと交錯して戦線離脱したように、日本人はアメリカ流のフィジカル野球に慣れていない印象も残っている。

 2011年4月7日、ニューヨークでのヤンキース戦。ツインズ1点ビハインドの7回裏、一死一塁からサードを守るバレンシアの前にゴロが飛んできた。併殺を狙ったバレンシアは捕球すると二塁ベースカバーに入った西岡に送球した。

「あのプレーは昨日のことのように覚えています。走者はニック・スウィシャーで、彼は典型的なアメリカ流の走塁をする選手です。併殺打にならないように激しいスライディングをすることで有名でした。あの時もスウィシャーはいつもどおりスライディングしたのですが、ニシ(西岡)は避けられずに左すねを骨折してしまいました。アメリカでは当たり前のプレーでしたが、日本では経験したことがなかったのでしょう。フットワークが足りなかったと思います」

 結局、西岡は6月中旬まで60試合の欠場を余儀なくされる重傷を負った。あらためてプレーを見ると、ベースカバーに入りバレンシアからボールを受け取った西岡は三塁側にステップしていた。そうしたプレーはアメリカでは教わらないとバレンシアは言う。

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