「被害者」は大谷翔平だけじゃない。イチローにもあったMLBジャッジとの戦い (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/AFLO

 大谷以外にも審判の判定に苦しめられた日本人選手がいる。今季からボストン・レッドソックスでプレーする澤村拓一がそうだ。

 澤村がメジャー初ホールドを記録した4月11日のボルチモア・オリオールズ戦、8回裏2死の場面。この日は最低気温が約7度と非常に寒い日だった。澤村は投球前に手を温めるため、握った手に息を吹きかけた。すると、審判は澤村の持っているボールの交換要請と同時に、ボールカウントを宣言した。

 現地の解説によると、投球板付近(18フィート以内)で指を温めるために息を吹きかける行為は、MLB野球規則に記載されている禁止事項にあたると判断されたという。地元メディアの『NESN』は、「他にどうしろというんだ!」と審判を批判。結局、カウントを悪くした澤村はこの打者に対して四球を与えてしまった。

 さらに投手・大谷は、試合によって厳しいストライクゾーン判定に苦しめられることもある。澤村は日本人のルーキー、大谷は全米の注目が集まるほど好調だから、ということで審判に目をつけられているのか。現地の報道によれば、それは審判のレベル自体の問題のようだ。

 大手スポーツメディア『スポーツ・イラストレイテッド』系列の『ザ・スパン』は審判の判定を批判する記事を相次いで出している。6月19日のニューヨーク・メッツ対ワシントン・ナショナルズ戦では、「審判のストライク判定の精度が最悪で、結果メッツが不利になった」という記事を掲載。数日後には、「MLB審判の最悪の判定」という見出しで、6月28日に行なわれたサンフランシスコ・ジャイアンツ対ロサンゼルス・ドジャースでのストライク判定が、今季の中で最悪なものであったと酷評している。

 また同記事では、"Umpire Auditor(審判監査人)"という、メジャー全試合で起こった誤審を取り上げているSNSアカウントに投稿された動画を掲載し、いかに審判の判定が間違っていたかを紹介している。同動画では、ドジャースの投手トレバー・バウアーが、ジャイアンツの右打者バスター・ポージーに投じた外角のボール球がストライクとコールされているシーンが映っている。

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