菊池雄星が大谷翔平と2年ぶりの対決へ。現地メディアが絶賛する成長と物足りない点 (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/AFLO

 加えて、菊池はコーチ陣にも恵まれた。特に今季開幕前にマリナーズの特任コーチに就任した岩隈久志の存在は大きかったといえよう。

 菊池は岩隈コーチからチェンジアップを教わり、それを開幕序盤から使い始めた。つい最近では、岩隈コーチから受けた「バドミントンの羽根を打つイメージで」という助言によって、チェンジアップの精度も上がってきた。変化球の球種が増えたことも、今季好調の理由のひとつだろう。

 さらに今季の菊池は、「2ストライクを取ってからは、『三振を取るんだ』という気持ちで投げている」と、積極的に勝負を仕掛けていることを明かしている。力任せの投球をしているわけではない。"ストライクゾーンで勝負すること"をテーマに、直球だけではなく変化球をうまく織り交ぜ、自分に有利なカウントを作る投球スタイルを見せている。フォームだけではなく投球スタイルを変えたことで、菊池はメジャーでアイデンティティを確立させた。

 ここまでの菊池について、前出のディビッシュ記者は「今の好投は、菊池が肉体的にも精神的にも多くの努力を積み重ねた結果の集大成といえます。彼はすばらしい成長を遂げた」と絶賛。その活躍はチーム内でも高い評価を受けており、マリナーズのスコット・サービス監督は3勝目を挙げた菊池に対し、「いくつものいい兆候が見える。この状態を続けていってほしい」と大きな期待を寄せる。

 菊池が現地メディアのみならず、チーム首脳陣からも高く評価されるのには、もちろん好投を続けているということもあるが、今のマリナーズのチーム事情も大きく関わっている。マリナーズ専門メディア『SoDo Mojo』のクリス・オーデイ記者は、「今のマリナーズ先発陣は苦しい状態にあります」とチームの内情を説明する。

「期待していたマルコ・ゴンザレスは離脱し、将来的にトミー・ジョン手術を受ける可能性もあります。また、ジェームズ・パクストンも故障しました」

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