「最強」大谷翔平の一挙一動がMLBの話題の中心。監督の起用法に注目 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 一方で、1週間にわたってエンゼルスの試合を見た中で、大谷の疲労蓄積を懸念せざるを得なかった。何度も議論されてきたことだが、その能力は体が耐えられる範囲を超えているようにも思えた。

 昨季までは登板前後のゲームは休養していたが、今季はこれまで全ゲームに出場している。前述した"三刀流"で出場した翌日のアストロズ戦にも「1番・DH」で出場し、4打数無安打。投手として先発した選手が、翌日に1番を打つのは実に105年ぶりという記録は作ったものの、さすがにこの日はスイングの鈍さが目についた。

「疲れはあったのかもしれないが、今日の試合前までに聞かされていなかった。明日は休みで、そのあとの何日かはDHで打つだけ。 そこでエネルギーは戻ってくる」

 12日の試合前後のマドン監督の説明は、ひとまず納得できるものではあった。13日の移動日による休養を経てみずみずしさを取り戻した大谷は、それ以降の5試合で4本塁打と再び量産態勢に入っている。それが示すとおり、適度に負担を軽減させることは必須のように思える。

 この休息に関して、日米の記者から盛んに質問が飛び、マドン監督は「いつも彼に状態を尋ねている。足が重い日はいつでも休みを与えるよ」と、大谷との対話を重視していることを強調した。とはいえ、選手はいつでもプレーしたいもの。近年はケガにも悩まされてきた大谷がプレー可否を問われたとしても、簡単に「ノー」と言うとは考えにくい。

 時を同じくして、18日にはチームの主砲であるマイク・トラウトの離脱も発表され、大谷の重要度は大きくなる一方。プレーを毎日見られるファンはうれしいだろうが、フル回転による疲労の蓄積と故障リスクは気になるところだ。

 とてつもない才能がどう起用され、どうやってコンディションを保っていくか。日本人選手として初となる本塁打王のタイトル獲得すら夢物語ではないが、そのために必要な健康を保ち続けることができるのか。

 現代野球では未曾有となる挑戦は続く。"大谷翔平を巡る冒険"は、2021年のメジャーリーグで話題の中心であり続けるだろう。

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