レッドソックス澤村拓一「気持ちが空回りしていた」。オープン戦序盤は不調も昇り調子へ

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 今季の指揮を執るのは、3年前にチームを世界一に導いたアレックス・コーラ監督。昨年1月に、アストロズコーチ時代のサイン盗み事件の責任を取る形で解任され、そこから復帰した指揮官は次のように自信を述べる。

「間違いなく昨年よりいいチーム。自信を持っている。地区のレベルが高いことはわかっているけど、いいキャンプを過ごせたし、準備はできているよ」

 野手ではマーウィン・ゴンザレス、エンリケ・ヘルナンデス、投手陣にはギャレット・リチャーズ、アダム・オッタビーノといったベテランが加わり、層の厚いチームになったのは確かだ。
 
 ただ、コーラ監督が言及しているとおり、レッドソックスが所属するのはハイレベルのア・リーグ東地区。昨季のリーグ王者レイズ、スター揃いのヤンキース、今オフに大補強を成し遂げたブルージェイズとしのぎを削る地区で、高勝率をマークするのは並大抵のことではない。

 アメリカのスポーツ専門誌『スポーツ・イラストレイテッド』の電子版は、2021年のレッドソックスについて「80勝82敗で地区4位」と予想。大黒柱クリス・セールがトミー・ジョン手術から復帰途上ということもあり、今季は勝率5割前後に終わると見る関係者が圧倒的に多いようだ。

 このように、チーム作りの途中に思える状況だからこそ、澤村にも1年目から重要な役割を任される可能性はありそうだ。

 澤村の90マイル台後半の速球、90マイル台前半のスプリットのコンビネーションは質が高く、球威はメジャーでも通用するレベルにあると見えた。オープン戦で、スライダーがカウント球として機能していたのも大きい。あとは課題の制球が落ち着けば、ブルペンの一角として貴重な戦力になるだろう。

 開幕後、まずは勝機があるゲームの6〜8回に投げることになるのではないか。クローザー候補のオッタビーノ、マット・バーンズも絶対的な存在ではないため、澤村が新天地で好スタートを切れば面白くなる。昨季の救援防御率が5.79でリーグ27位だったブルペン陣の貴重な新戦力として、シーズンの早い時期から8、9回を任されることもあり得る。

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