投手・大谷翔平も今季は「ヤバイ」。斎藤隆が見た明らかな変化、超一流の証 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 一方、注目ルーキーの早川隆久(楽天)や高卒2年目の奥川恭伸(ヤクルト)のように、力感ないフォームから150キロ近いボールを投じる投手もいる。

 しかし、現在の大谷には次元の違うすごみを感じると斎藤氏は言う。

「早川や奥川のように、若さから来るよさとは違います。トレーニングをして鍛えて、ピッチャーがバッターをアウトに取るために必要な、バッていう前足の入り(=割り)はなかなかできないんですよ。あれができたら超一流。今の大谷はリラックスした感じで前足を踏み出し、投げにいく時にバチンときた時の破壊力というか、リリースポイントへの力の集まり加減がすごい」

 大谷は高卒9年目を迎え、今年7月には27歳になる。一般的に、プロ野球選手がピークを迎えるとされる年齢に差しかかり、投手として熟練してきたのだろう。トレーニングを重ねた大谷の肉体的な進化は、斎藤氏の目にはテレビ画面越しにも顕著に見られるという。

「腰回りがしっかりしましたよね。肩周りは、あの大きな体にしては細いなとこれまで思っていたけど、大きくなっている印象を受けます。インナーのトレーニングもちゃんとやって今の体になっているとしたら、ヤバイですよ」

 肉体面の進化は、投手が大きく羽ばたくうえで不可欠だ。斎藤氏はドジャース時代の2007年、37歳の時に最速99マイル(約159キロ)を記録したが、その裏には地道にトレーニングを重ねたことがある。

「2000年からトレーナーを個人でつけました。その時に右肩の手術をしたのですが、下半身や股関節周りのトレーニングもして自分の欠点を解消し、パワーアップしました。メジャーに行き、リリーバーになったのも自分には合っていたと思います」

 斎藤氏がメジャーに行ってからスケールを増した理由は、環境の変化に適応したことも挙げられる。日本の"柔らかい"マウンドとメジャーの"固い"マウンドでは、投手は投球メカニクスを調整する必要があるという。

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