ダルビッシュの「魔球」にライバルも羨望。興味深いデータの数々 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そのアブレイユに対し、ダルビッシュ投手は2回にいきなり先制ホームランを打たれてしまいます。カウント2−1からのカットボールでした。すると、4回の第2打席では初球から立て続けにフォーシームを投げ、強打者アブレイユに真っ向勝負。最後は時速97.4マイル(約156.7キロ)のシンカーで詰まらせて二塁ゴロに打ち取りました。今シーズン一番の名勝負だったと思います。

 ダルビッシュ投手の投げるシンカーも、相手にとって実にやっかいな魔球です。ホワイトソックス戦では2番のヨアン・モンカダに対し、この日最速となる98.3マイル(約158.1キロ)のシンカーで空振り三振を奪いました。158キロのシンカーを打つのは、メジャーの強打者たちでも至難の業でしょう。

 そうかと思うと、9月4日のセントルイス・カージナルス戦ではスプリットを多投したり、9月9日のシンシナティ・レッズ戦では左の強打者ジョーイ・ボットーをカッターで空振り三振を奪うなど、対戦相手や試合ごとに軸となる球種を使い分けています。

◆「ダルビッシュ有、サイ・ヤング賞への道。ハードルとなる要素を考えた」はこちら>>>

「配球がまったく違うタイプの投手になるのが一番のキー」

 本人もそう言っているように、今季のダルビッシュ投手は試合によって様々な表情を見せてくれます。これはまさに、持ち前の向上心や探求心で日々進化を遂げている証でしょう。

 9月20日に放送された米スポーツ専門局ESPNの全国中継「サンデーナイトベースボール/カブス対ツインズ戦」では、先発したダルビッシュ投手の多彩な球種やその軌道などを徹底分析していました。異なる球種をほぼ同じ高さのリリースポイントから投じられる美しい軌道に、実況アナウンサーや解説陣は「ワオーッ!」と大絶賛。全米中のファンにダルビッシュ投手の魅力を伝えていました。

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