ダルビッシュの「魔球」にライバルも羨望。興味深いデータの数々 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そのなかでも注目したいのは、カットボールが全体の47.5%も占めている点です。昨年トミー・ジョン手術から完全復活した時、ダルビッシュ投手はカットボールを投げる割合を増やしました。その結果、カットボールで多くの三振を奪えるようになったので、今季新たな決め球になったのだと思います。

 8月13日のミルウォーキー・ブルワーズ戦、ダルビッシュ投手は7回一死までノーヒットノーランという快投を演じました。その試合は7回1安打1失点11奪三振でマウンドを降りましたが、実にカットボールで15個もの空振りを奪い、決め球として8つの三振も取っています。

 ところが、8月23日のシカゴ・ホワイトソックス戦では、ダルビッシュ投手のピッチング内容が一変しました。破壊力抜群のホワイトソックス打線に対し、右打者が多いことも考慮したのか、スライダーを多投したのです。結果、スライダーで空振り14個、計7つの三振を奪いました。

 ダルビッシュ投手はホワイトソックス戦後、右打者のストライクゾーンからボールゾーンに逃げていく「チェース(追いかける)スライダー」が効果的だったと言っています。登板3日前にクリーブランド・インディアンスの若きエース、シェーン・ビーバーの投球映像を入手し、新たな魔球を研究したそうです。

 それによって、スライダーの球速は5キロ前後アップし、本人は「(球速が上がったことで)カッター(カットボール)とスライダーの見分けがつかないと思った。カッターの偽装になる」とコメント。右打者の外角ボールゾーンにカットボールと高速スライダーを投げ分けることで相手を幻惑させていたのです。

 この試合最大の見せ場は、4番ホセ・アブレイユとの対決でしょう。アブレイユは直近の2試合で5本塁打を放ち、今季のア・リーグMVP最有力候補に挙げられるキューバ出身のスラッガーです。

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