イチロー初球宴から20年。アメリカの価値観を変えた偉大な軌跡 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO


 また、シーズン242安打を記録し、ワールドシリーズの八百長事件で球界から永久追放となった伝説のスター、シューレス・ジョー・ジャクソンのメジャー新人記録も更新。メジャータイ記録となるチームの116勝に大きく貢献し、1975年のフレッド・リン(ボストン・レッドソックス)に次ぐ史上ふたり目の「ア・リーグ新人王&MVP」の同時受賞を果たしました。

 それ以来、2001年から2010年まで前人未到の10連続200安打を達成。2004年には262安打を放って「不滅の大記録」と言われたジョージ・シスラー(セントルイス・ブラウンズ/1920年)の持つシーズン最多安打を更新し、さらには10年連続でゴールドグラブ賞受賞......と、その活躍はとどまるところを知りません。

 投手と違って野手は毎試合出場するので、本拠地セーフコ・フィールドは連日大勢の日本人ファンで賑わいました。とくに、イチロー選手が守る「エリア51」と呼ばれるライト後方のスタンドは大人気。場内には彼の名前にあやかって「イチロール」という巻き寿司も販売されました。

 イチロー選手の活躍によって、NHKのメジャー中継も急増します。野茂英雄投手がメジャーデビューした時は先発登板日に合わせて主に5日に一度でしたが、毎試合出場するイチロー選手を見たいファンのために連日放送。結果、国内でのメジャー人気はさらに高まり、より身近な存在となりました。

 さらに驚いたのは、全国のコンビニにオールスターのファン投票用紙が置かれたことでしょう。日本人選手として初めてイチロー選手の名前が投票用紙に記載された時は、感慨深いものがありました。日本からの後押しもあって、イチロー選手は新人として史上最多の約337万票を獲得したのです。

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