野茂英雄の記録を田中将大は追い抜けるか。絶滅寸前の「完封勝利」 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 また、9回無失点で完封を記録したのは10人。25年間でわずか27度しかありません。そしてその27度のうち、野茂投手は全体の3分の1にあたる9度も完封を記録しているのです。

 1996年9月17日、「バッターの天国」と呼ばれるデンバーのクアーズフィールドで行なわれたコロラド・ロッキーズ戦で日本人初となるノーヒットノーランを達成。そして2001年4月4日、ボストン・レッドソックス時代にもボルティモア・オリオールズ戦で自身2度目のノーヒッターを成し遂げました。

 それ以外にも、1安打の完封勝利は2度。さらに2003年のドジャース時代、2度目の開幕投手を務めた試合ではアリゾナ・ダイヤモンドバックスの最強左腕ランディ・ジョンソンに投げ勝ち、9回4安打無失点の完封勝利という快投も見せてくれました。

 野茂投手の完封劇を振り返ると、日本人最多という記録だけでなく、内容的にも記憶に残るものばかりだったように思います。ちなみに、完封数2位は黒田博樹投手の5度、3位はニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手の4度、4位は伊良部秀輝投手と石井一久投手の2度と続きます。

 意外なのは、松坂大輔投手(現西武ライオンズ)の名前がないことです。2007年にレッドソックスと超大型契約を結び、メジャーで日本人歴代6位の通算56勝をマーク。ワールドシリーズで日本人初の勝利投手にもなった実績がありながら、8年間でわずか1完投しかなく、完封勝利は1度もありません。

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