人種差別問題でジーターも熱弁。MLBはロビンソンの心を引き継げるか (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 草創期は有色人種排除の方針が確立されていたMLBだが、現在は多くの人種がプレーするリーグになった。そんな変化を可能にした功労者として、1940〜50年代に黒人初の近代メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの功績が有名だ。当初はあからさまな差別に見舞われながらも、ロビンソンは人種の壁に風穴を開けることに成功。以降、黒人だけでなく、ラテンアメリカ、アジアからもメジャーに入団することが可能になった。その流れに乗って、多くの日本人選手が太平洋を渡ってきたのはご存知のとおりだ。

 MLBはロビンソンがメジャーデビューを果たした毎年4月15日を"ジャッキー・ロビンソン・デー"に制定。この日は全米各地でセレモニーが開催され、全選手がロビンソンの現役時代の背番号42を着用するのが恒例になっている。

 ただ......、こうした流れがあるからといって、MLBで人種差別がなくなったとは言い切れない。今回の一連の抗議活動の最中、現実をあらためて突きつけられるような残念なエピソードも明るみに出てきている。

 6月上旬、元スター選手のトリー・ハンターがESPNのラジオ番組に出演した際、現役時代にボストンで差別的な中傷を受けていたと告白した。黒人に対する蔑称(べっしょう)である"Nワード"で100回は呼ばれたのだという。

「ボストンは大好きだし、プレーしたかった。ただ、私の妻と家族をあの地域に住ませたくはなかった」

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