斎藤佑樹から満塁弾、激闘の決勝...
アストロズ4人の話題は日本の思い出

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by AP/AFLO

 じつは、持ち帰ったスリッパを見なくても、9年前の日本での経験を思い出す理由がある。

 スプリンガーの一発で日本に勝利したアメリカは、決勝戦でキューバと対戦。その決勝戦でアメリカの先発を任されたのが、現在、アストロズのエース3本柱のひとりであるゲリット・コールで、相手のキューバには、アストロズの主軸であるユリ・グリエルと、控え野手のアレドミス・ディアスがいた。

 神宮球場で行なわれた決勝戦は、7回まで0-0の投手戦が続いたが、8回表にアメリカがソロホームランで先制。しかしその裏、キューバは福岡ソフトバンクホークスで活躍中のアルフレド・デスパイネが同点ホームランをライトスタンドに運んだ。

 試合は1-1のまま延長戦に突入し、10回表、アメリカが2点を勝ち越すが、直後の10回裏、一死一、三塁でまたしてもデスパイネが、今後はレフトを守るスプリンガーの頭上を越える一発で、キューバが劇的な逆転勝利で優勝を飾った。

 その後、4人はそれぞれ別々の道に進んだ。

 スプリンガーは、すでに記述した通り、2011年にMLBドラフト1巡目(全体8番目)でアストロズから指名され、2014年にメジャーデビューを果たした。

 グリエルはキューバ政府のスポーツ振興制度で、2014年にNPBの横浜DeNAベイスターズに入団。62試合に出場して打率.30511本塁打、30打点の成績を残したが、わずか1年で退団。その後、ハイチへ亡命し、2016年7月にアマチュア・フリーエージェントとしてアストロズと5年契約を結んだ。

 コールは2018年のシーズン前に、ピッツバーグ・パイレーツとのトレードでアストロズにやってきた。また、ディアスは今シーズンが始まる前、トロント・ブルージェイズとのトレードでアストロズに入団した。

 まったく違う道を歩いていた4人だったが、奇しくも今年、全員が同じユニフォームを着て戦っている。久しぶりに顔を合わせ、9年前の決勝戦の記憶が大きくよみがえったという。

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