大谷翔平の成績で特筆すべきこと。
30本塁打30盗塁の夢が見えていた

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 近年のメジャーリーグは「フライボール革命」によって、ホームランの数が激増しています。1990年代から2000年代初頭にかけてのステロイド時代のように、ホームランの乱れ飛ぶゲームが多く見られるようになりました。

 レギュラーシーズンの総本塁打は、2017年に史上最多の6105本を記録。ところが、今年は9月11日に早くも更新するほど、両リーグでホームランが量産されています。

大谷翔平は今シーズン、不動の3番バッターとして活躍した大谷翔平は今シーズン、不動の3番バッターとして活躍した その一方で、激減しているのが盗塁数です。2011年にメジャー全体で3279個だった盗塁数が、2018年には2474個まで減少。今年の盗塁数も、それをさらに下回る見込みです。

 その原因は、選手が「走らなくなった」というより、「走る必要がなくなった」と言ったほうが正しいでしょう。セイバーメトリクスの進化により、リスクを犯して進塁するよりもホームランでランナーを生還させたほうが効率がいい、という考え方が広まったからです。

 また、このような時代の変化は、打順にも影響を及ぼすようになってきました。

 古くはベーブ・ルースをはじめ、メジャーの長い歴史においてチームの最強打者は皆、3番を任されました。しかし、セイバーメトリクスの分析によって、現在の最強打者は2番を打つ傾向が増えつつあります。日本でも話題になった「2番バッター最強説」です。

 その流れにともない、3番を任されるバッターは、かつての4番や5番のような「打つ専門」が増えてきました。フライボール革命によって、走力にも秀でたオールラウンドプレーヤーの活躍する機会が減ってきたのです。

 そこで、大谷翔平選手です。

 9月13日、左ひざの手術のため、ひと足早く今シーズンの終了を発表しましたが、不動の3番として活躍してきた大谷選手はメジャー1年目から2年連続で「ふたケタ本塁打&ふたケタ盗塁」を成し遂げました。日本人では2005年~2006年、当時シカゴ・ホワイトソックスに所属していた井口資仁選手以来、ふたり目の快挙です。

 今シーズンの大谷選手の成績は、打率.286・18本塁打・62打点・12盗塁。デビューから2年続けて15本塁打&10盗塁以上を記録したのは、ロサンゼルス・エンゼルス球団史上、初の出来事です。

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