ダルビッシュは「ジャズ・ピアニスト」。かつての大物投手とも共通点 (3ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by getty Images

 キューバリーグで通算126勝を挙げたヘルナンデスは、1998年に亡命し、メジャーでも9年間で90勝を挙げた。とくに1998年から2000年のヤンキースの3連覇に大きく貢献。ダーリングの言葉どおり、変幻自在の投球が売り物の技巧派で、マウンド上での存在感が抜群なピッチャーだった。

 より深く見ていくと、投球スタイル以外にもダルビッシュとヘルナンデスには共通点が多い。共に野球が盛んな母国の実力派投手として、メジャーデビュー前後から注目を集め、実際にエース格の投手として活躍。ケガに苦しみながらも、メジャーで長いキャリアを築いた点も似ている。

 右肘の故障から復帰した今季のダルビッシュは、お世辞にも順風満帆とは言えない厳しいシーズンを過ごしてきた。ただ、後半戦は確実に復調している。今季の投球内容も評価されているからこそ、ストラスバーグ、ウェインライト、そして、ヘルナンデスといった大物の名前が出てきたのだろう。

 現役時代の"エル・デューケ"は、プレーオフ通算9勝、防御率2.55と大舞台での強さで知られた"ビッグゲーム・ピッチャー"でもあった。ダルビッシュも同じように今秋のプレーオフで活躍できれば......。その時にはシーズン前半の不調は半ば忘れられ、現代の"ジャズ・ピアニスト"の力量があらためて評価されるはずである。

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