ダルビッシュは「ジャズ・ピアニスト」。かつての大物投手とも共通点 (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by getty Images

 8月27日の対戦で、ダルビッシュからメッツの1シーズン最多記録となる42号本塁打を放った主砲ピート・アロンゾは、今季15勝をマークしているナショナルズのエースの名を挙げた。

「スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)に似ている。カーブ、カットボール、チェンジアップ、いい真っ直ぐを持っていて、制球がいいからどの球種でもストライクが投げられる。ダルビッシュにしろ、ストラスバーグにしろ、エースと呼べる実績を残してきた投手。もちろん同じタイプのピッチャーなんていないけど、似ている投手を挙げるとすればストラスバーグだ」
 
 一方、打率.330前後を維持する好打者ジェフ・マクニールは、過去ナ・リーグの最多勝に2度も輝いたカージナルスの大黒柱と相似点があると見ているようだ。

「アダム・ウェインライトと似ているね。ウェインライトもスローカーブとカットボールをよく使うし、チェンジアップも上質。それらの球種をうまく混ぜてくる。球種の数ではダルビッシュが上だが、動かない速球が少ない点ではウェインライトも同じだ」

 ストラスバーグとウェインライトは、共に多くの球種を操るベテラン投手ということで、たしかにダルビッシュとの共通点がある。とくにダルビッシュと同じく大きなカーブの使い手で、多くの三振を奪うことができ、打たせて取ることもできるウェインライトのほうが相似点が多いと言えるかもしれない。

 アロンゾ、マクニールは今季オールスターに選ばれた強打者だが、まだ20代前半の若手だけに、比較対象とする投手が少ない。一方、これまで数多くのピッチャーを見てきた59歳のダーリングは、さらに説得力のある名前を挙げてくれた。

「ストラスバーグ、ウェインライトは基本的には常に力を入れて投げる力投型だが、ダルビッシュはその気になれば95、96マイルの速球が投げられるのにも関わらず、あえてそれをせずに独自のやり方で投球する。そんなダルビッシュにもっとも似ていると思うのは、"エル・デューケ(公爵)"ことオーランド・ヘルナンデス(元ヤンキースなど)だ。スローカーブを含むさまざまな球種をオリジナルな形で使い分けた"エル・デューケ"も、まるでジャズ・ピアニストのような投手だった」

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