大谷と菊池メジャー初対決で明暗。高校は同じも似て非なる育成だった (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Getty Images

 たしかに、かつての『村山実対長嶋茂雄』や『江夏豊対王貞治』、『江川卓対掛布雅之』や『山田久志対落合博満』、『野茂英雄対清原和博』、『松坂大輔対イチロー』など、日本ではピッチャー対バッターのライバル物語が伝説の名勝負としていくつも語り継がれている。ところが不思議なことにアメリカの野球には、そういうロジックで語り継がれている対決はない。

 宿命のライバルといえば、ヤンキースとレッドソックス、カブスとカージナルス、ドジャースとジャイアンツといったチーム同士の対決であり、ピッチャーとバッターではない。

 ベーブ・ルースやバリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲスといった歴代のスラッガーにライバルと称されたピッチャーはいないし、ノーラン・ライアン、グレッグ・マダックス、ロジャー・クレメンスといった球史に残る名投手を見ても、同時代に凌ぎを削ったバッターとのマッチアップがクローズアップされることはない。

 アメリカの文化が大事にするのは個性、日本では組織を重視するイメージが強いのに、日本の野球が個の対決をおもしろがり、アメリカのベースボールはあくまでもチーム同士の対決を重視する、というあたりが興味深い。ニューヨーク・タイムズの記事を書いたブラッド・レフトン記者は「土俵の上で力士が一対一の対決をする相撲が国技の日本」だから、野球でもこうした一対一の対決に魅了されるのではないかと考察している。

 菊池は以前、こう言っていた。

「僕と大谷って、高校は入れ替わりなんですよ。僕が卒業した年に大谷が(花巻東に)入ってきたんで、僕、じつは大谷のことをあんまり知らないんです。ただ、大谷にしても僕にしても、(花巻東高校の佐々木洋)監督の指導は大きく影響していると思います。僕は監督から常に目標、目的を描くということを教えてもらいました。今でも会うたびに『子どもたちのお手本となるような振る舞いをしなさい』と言ってもらっています。その言葉はいつも僕のなかにありますね。ちょっと浮かれているかなと感じたときには、ああ、監督の言葉を思い出さなきゃいけないな、と自分に言い聞かせています」

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