2019.06.10

大谷と菊池メジャー初対決で明暗。
高校は同じも似て非なる育成だった

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Getty Images

 気になったのは、初回の菊池が投げるたびに右足の位置を確かめていたことだ。中8日の間のブルペンでインステップしていることに気づいた菊池は、その修正を試みてきた。インステップするとそれだけ上体に負担がかかり、力がボールにうまく伝わらない。菊池は手応えをつかみながらも、「いい時と崩れた時の形の違いを直したからといって、ボールにすぐ直結するかというと、そんな簡単な話ではない」とも話していた。

 ゲーム当日、何度も踏み込んだ足の位置を一球ごとに確認していたということは、まだ修正したフォームが身体に染みついていたわけではない、ということでもある。

 対する大谷は、左ピッチャーが打てない、打球が上がらないと、思うような結果が出なかった5月、いくつかの課題を指摘されていたが、大谷自身は「(ピッチャーが)左か右かによって(ボールの)軌道は違うんですけど、その軌道に合わせにいくとブレてしまうので、自分の感覚のなかでこういうふうに飛んでいくんだなという軌道で振れているかどうかが大事」だと話し、結果につながらなくてもブレることなく、やるべきことを見据えながら今年も経験値を上げてきた。

 初対決では明暗が分かれたものの、同一リーグのライバルチームにいるふたりなのだから、この先も直接対決は続く。アメリカでは、岩手県の花巻東高校を卒業したNPBのトッププレイヤーが去年、今年と立て続けにメジャーへ来たという事実を受けて、”花巻東とはどういう高校なのかと興味を掻き立てられていたようだ。実際、5月30日付のニューヨーク・タイムズにはこんな特集記事が掲載されていた。

『菊池対大谷、日本でのもう1つのライバル関係』

 ふたりの初対決を前に150の記者席はすべて埋まり、日本では午前11時からテレビで生中継される、という書き出しから始まるこの記事は、同じ高校に通っていた菊池と大谷がメジャーで初めて対峙することは日本で大いに注目されている、と綴っていた。さらに、日本の野球はアメリカのベースボールにはない独自の文化をいくつも育んできたとして、そのうちのひとつに、すぐれたピッチャーとバッターによる”名勝負列伝”を挙げている。