1イニング先発は吉と出るか。菊池雄星の起用法を田中将大も後押し (3ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by getty Images

 MLBの先輩であるヤンキースの田中将大も、マリナーズとのシリーズ中、1イニング先発に対して次のように理解を示していた。

「疲れは溜まってくるだろうし、1年目でいろいろと初めてのことがあってストレスもかかる。その中でひと月に1回、1イニングでマウンドを降りて次の準備をしていく。それは広い目で見た時に、少なからず助けになるんじゃないかなと思います。イニング数も自然と抑えられるし、体の休息にもなる。いいアイディアなのかなと思いました。毎年するわけじゃないじゃないですし、1年目だからということで、いいんじゃないかな」

「あくまで個人的な感想」と断った上での言葉だが、メジャーでも6年目を迎え、ベテランの域に達した田中の言葉には説得力がある。田中も1年目の前半に大活躍したが、シーズン中にケガを負った経験がある。そんなリスクを少しでも減らすための、マリナーズのプランは興味深い。

 再建中のチームだからこそ実践できることではあるのだろう。マリナーズ、菊池ともに目先の勝ち星が減ることを覚悟した上で、チームはまだ27歳のサウスポーをじっくりとエース級に育てる決断を下した。

 このプランのおかげで、スカウトが"カギ"と指摘した速球の球威を、菊池が1年を通じて保つことも可能になるかもしれない。また、メジャーで長く活躍することにもつながるのか。真の答えが出るのはしばらく先になるが、マリナーズと菊池の"勇敢な試み"が好スタートを切ったことは間違いなさそうだ。

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