菊池雄星が大谷翔平の攻略法をイメージ。「自分の武器になるのは...」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 田口有史、甲斐啓二郎●写真 photo by Taguchi Yukihito,Kai Keijiro

── 菊池投手は以前、「マウンドは世界一低い山だけど、登るのは世界一難しい山だ」とおっしゃっていました。今、メジャーのマウンドはどんなふうに見えていますか。

菊池 難しい山だからこそ、登るのが楽しみで仕方ないんです。登りたくて登りたくて、高校からその山を目指して野球をやってきましたから、東京でもシアトルでも僕にとっては特別なことに変わりはないし、今は早くその山に立ちたいということだけです。

── メジャーでどういうピッチャーになれば、てっぺんまで登れると考えていますか。

菊池 僕は真っすぐとスライダーの出し入れが基本のピッチャーなので、その精度を高めていくことに尽きると思います。ずいぶん前からカズさん(石井一久氏)に「スライダーの出し入れがスタートだよ」という話をしてもらっていましたし、「日本でもアメリカでもそこは変わらないから」とも言われてきました。僕はずっとそれを意識して日本で投げてきましたし、自分のピッチングの軸はそこにあると思っています。

── それにしても入団会見での英語での受け答えには驚かされました。いつから勉強していたんですか。

菊池 勉強らしい勉強は去年の夏からです。ただ英語に関しては、ドジャースタジアムから帰ってきて、本気でアメリカへ行くんだと心に決めた時から、勉強しなきゃと思っていました。アメリカ人の選手と会話したり、一緒に食事をしたりしながら、英語に慣れようという気持ちはずっと持っていました。

── 勉強にはどういうふうに取り組んだのでしょう。

菊池 聞いたり、書いたり......単語も文法もわからないので、中学校の英文法を暗記するところから始めました。

── 西武ではブライアン・ウルフ投手とよく一緒だったとか......

菊池 ウルフは、日本の文化を知ろうという外国人だったんです。だから和食も積極的に食べていたし、日本に慣れないとこの国で野球選手として生き残っていけない、という話をよくしていました。その時にウルフが「だから雄星もアメリカへ行くならアメリカの文化に馴染もうとしなきゃいけないんだよ」って言ってくれて、遠征先ではアメリカっぽいレストランやバーに出掛けて「アメリカではこういう食生活が続くんだぞ」みたいなことを教えてくれたんです(笑)。「よし、雄星、今日はハードロックカフェに行くぞ」とか「今日はHUB(英国風パブ)に行こう」と言って、よく連れ出してもらいました。メジャーで外国人に対して臆さずに話し掛けられるのは、ウルフのおかげかもしれません。そういう意味では、ウルフに感謝、ですね。

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