菊池雄星が大谷翔平の攻略法をイメージ。「自分の武器になるのは...」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 田口有史、甲斐啓二郎●写真 photo by Taguchi Yukihito,Kai Keijiro

── 性格だけでなく、選手としてのタイプも違うのに、同じ高校の出身だということでどうしても比較されてきました。

菊池 僕としては比較されるのはうれしくないというところは終始、変わりません。だって大谷は今までで一番速い球を投げて、今までで誰よりも遠くに飛ばして、という選手ですよ。そんな相手と同じ高校だったというだけで比較されても、意味がないと思うんです。しかも野球の技術で比較されるならまだしも、それこそ人としてどうこうという比較もしょっちゅうされました。「大谷はこういう人間だから1年目から結果を出している」「雄星はこういう性格だからダメなんだ」って......大谷がプロに入って1年目、2年目、3年目と順調に成績を伸ばしていたときというのは、僕は9勝、5勝、9勝と、カベを突き破れずに立ち止まっていた時期でした。

 もちろん大谷が悪いわけじゃないし、大谷がすごくストイックで真面目だということもわかっています。監督の教えでもある「子どもたちに向けて、あるいは野球界へ向けて、自分は何をすべきなのか」ということも、大谷は常に考えていると思うことは何度もありました。でも、だからと言って「大谷と雄星の差は、性格がこうだからだ」みたいに周りから決めつけられるのは、うれしくなかったです。だから、同じ高校なんですけど、監督の教えが型にハメる指導ではないので、性格も考え方も、違って当然なんですよ。

── ひとりのピッチャーとして、バッターの大谷選手をどういうふうに見ていますか。

菊池 本当にすごいバッターですよね。大谷の日本での最後のシーズン(2017年)、札幌での開幕戦が僕と大谷の最後の対戦だったんですけど、インコースのギリギリのところをパカーンと打たれて、「そこ、打つか」と思った記憶があります。スライダーでは1年目からいくつも三振を取ってきましたけど、一番自信のある、しかも一番いいコースへ行った真っすぐをパカーンと打たれているので、今はどんなバッターになっているのか、ちょっと想像がつきません。

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