カープの元助っ人が世界一に貢献。
「背番号70」に込めた日本への想い

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 結局、見に来たのは8球団だけ。しかもその後、スプリングトレーニングが始まっても、ブレイシアのもとにはどこからも連絡がなかった。

 しかし、3月になってから状況は一転。ブルペンの層を厚くしたいレッドソックスとマイナー契約を交わしたのだ。メジャーキャンプには行かず、直ちにマイナーキャンプに招かれ、AAAでシーズンをスタートさせた。開幕から好調を維持したブレイシアは7月にメジャーに昇格を果たすと、気がつけばチームにとって欠かせない存在になっていた。

 今季、42セーブを挙げたクレイグ・キンブレルがFAになったため、レッドソックスはクローザー不在になる可能性がある。デーブ・ドムブロウスキー編成本部長はメディアに対し、ブレイシアに期待していると話し、クローザー抜擢も示唆した。

「我々は今いるメンバーにクローザー候補が数名いると思っています。なかでもマット・バーンズとライアン・ブレイシアがトップ候補です。だから、クレイグ(キンブレル)がこのポジションにいなくなれば、このふたりのどちらかから選ぶか、他球団からの獲得を考えないといけません」

 ちなみに、ブレイシアはすでにクローザーの経験がある。実際、レッドソックスがブレイシアに目をつけたのも、このポジションでの成功だった。7月の昇格までAAA・ポータケットでクローザーを任されていたブレイシアは、安定感あるピッチングを披露していた。

 メジャー昇格後もセットアッパーとして活躍したブレイシア。34試合(33.2イニング)に登板して2勝0敗、防御率1.60という成績を残したが、彼のすごさを示す数字がある。

 投手の能力を示す数値のなかにWHIP(与四球と被安打の合計を投球回で割ったもの)というのがあるが、これは1イニングあたり何人の走者を出したかを表すもので、1.0未満で球界を代表する投手と言われている。ブレイシアのWHIPはなんと0.772。つまり、ほとんどランナーを出さなかったというわけだ。33.2イニングで29個の三振を奪ったが、四球はわずか7つしかなかった。

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