「スピードが命」から日本で変身。
マイコラスは菅野智之を参考に成長した

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 セントルイス・カーディナルスのマイルズ・マイコラスが、父親としてピンチを切り抜けたのは2回ある。

 最初は2017年、読売ジャイアンツの時だ。来日3年目のオープン戦中、妻のローレンが出産するとの連絡があり、慌ててフロリダへと向かった。無事出産に間に合い、長女も産まれた。

 2度目はメジャーに復帰した今年、オールスターに選出された時だ。開催地のワシントンDCに到着し、ホテルでチェックインを済ませたその数時間後、ローレンが予定よりも早く出産するという連絡が入った。まだオールスターも始まっていないのに、マイコラスは早々に帰らなくてはいけなくなったのだ。

「妻の出産予定日は9月初めだったんです。でも、それが早まるということは前々からわかっていたんですが......。日曜日にカーディナルスのゲームが終わり、ワシントンDCに飛び、ホテルにチェックイン。お土産とオールスターのスケジュール表を受け取ったところで、妻の出産を知らされたのです。だから、オールスターのイベントが始まる前に、慌ててフロリダに向かいました」

 予定より2カ月も早かったが、無事に双子を出産。「母子ともに健康だ」と、マイコラスは笑顔で語ってくれた。

メジャー復帰の今季、18勝を挙げナ・リーグの最多勝に輝いたマイコラスメジャー復帰の今季、18勝を挙げナ・リーグの最多勝に輝いたマイコラス マイコラスの投手としてのキャリアも、このように波乱万丈である。

 2012年の5月にサンディエゴ・パドレスでメジャーデビューを果たしたあと、巨人と契約するまで、マイナーとメジャーを9回も行き来し、解雇も経験している。

 ところが今季、オールスターにも選出されたことでわかるように、カーディナルスでマイコラスは自分の居場所を見つけたのだ。

 今シーズン、ローテーション投手として前半戦から安定したピッチングを見せ、後半戦は1敗しかしないなど、チームがプレーオフ争いに加わったのはマイコラスの奮闘によるところが大きい。

 7月14日の試合後にマイク・マシーニー監督が解雇された時点で、カーディナルスは47勝46敗でナショナル・リーグ(ナ・リーグ)中地区の3位に低迷していた。マイコラスはその翌日に先発し、マイク・シルト監督の初勝利に貢献した。

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