ラミちゃんも弟子。名選手を育てた
「赤鬼・マニエル」の眼力

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 彼が初めて獲得したチャンピオンリングや、愛弟子であるトーミの殿堂入りの話がほとんどだったが、ラミレスのことに触れるとマニエルは喜んで語ってくれた。

「ちょっと言わせてもらいたいんだけど、アレックス・ラミレスはコーチをした選手のなかでもすごく誇りに思える選手なんです。考えてもみてください。メジャーとマイナーを行き来していた選手が、日本で選手として、監督として18年も経ったんです。これってすごいことだと思うんです。彼は打つチャンスさえあれば、絶対に成功する選手だといつも思っていました。

 ただ、あの時のクリーブランドのチーム事情を考えると、彼が毎日試合に出場ことは難しかった。マイナーリーグでの彼の成績を見たら、マーカス・ジャイルスやショーン・ケイシー、そのほかにもメジャーで長年にわたって活躍した選手よりもいい成績を残しているんです。だからこそ、毎日プレーし続ける必要があったのです。それで日本だったら、彼に合っているのではないかと......。彼が打ち始めると、ラインナップから絶対に外されないと思いました」

 マニエルの読みは正しかった。ラミレスは外国人選手として唯一、日本のプロ野球だけで2000本安打を放ち、監督にまで上り詰めたのだ。

 トーミにロイ・ハブスのように構えたらパワーが発揮できるというアドバイスもすごいが、メジャー定着を目指していたラミレスに『日本が合っている』と勧めたマニエルの眼力には驚くばかりだ。

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