ラミちゃんも弟子。名選手を育てた「赤鬼・マニエル」の眼力 (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

「ロイ・ハブスから思いついたこのフォームが、私に効果があると思いついてくれたんです。あのペンシルバニア州でのちょっとした出来事が、私のすべてを変えるなんて想像もできませんでした。それからというもの、私たちがしたことといえば、練習、練習、練習......そしてまた練習という感じでした。あなたがいなかったら、私は今ここの舞台にいなかったことは間違いありません。すべてのことに感謝したいと思いますが、とくにあなたの義理堅さに感謝しています」

 マニエルによって育てられた選手はトーミだけではない。1990年代から2000年代前半にかけて、インディアンスでマニエルによって育てられた打者はマ二ー・ラミレスやショーン・ケイシーなど、メジャーを代表する打者がたくさんいた。

 そのなかで、日本のプロ野球に深く関わっている選手もいる。現・横浜DeNAベイスターズで指揮を執る"ラミちゃん"こと、アレックス・ラミレスもマニエルから指導を受けた選手のひとりである。

 ラミレスは1991年にインディアンスと契約し、メジャーに昇格した1998年にコーチを務めていたマニエルと出会った。しかし定着することができず、メジャーとマイナーを行ったり来たりするまま3シーズンが過ぎた。そんなある時、マニエルはこんなアドバイスをした。ラミレスが振り返る。

「『ラミは打つのがうまいから、毎日試合に出場できるところに行った方がいいよ。お前の守備は打撃に比べるとよくないから、ここでは4番手、5番手の外野手になってしまう。でも日本だったら、お前の打撃技術をもってすれば、外されることはない』と。チャーリーは日本でのプレー経験があったので、そうした事情をよく知っていました。それに日本がどんなにいいところかということも教えてくれました。チャーリーはいつも正直に物事を言ってくれます。とても感謝しています」

 今年74歳になったマニエルは、先日、フィラデルフィア・フィリーズの監督として2008年に達成した世界一の10周年記念式典に出席した。

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