2018.09.12

常勝より成長を選んで正解。
大谷翔平は「一刀流」でもドキドキさせる

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Image

 100マイルを投げる投手は今では少なくないが、攻撃面で大谷ほどのポテンシャルを備えた選手は他に思い浮かばない。筆者個人としても、大谷はフルシーズンで打者として出場すれば、メジャーでも50本塁打以上を打つことも可能だと見ている。そして、その潜在能力をもっとも早く開花させる最善の方法は、やはり打者に専念することだろう。

「シーズンを通じたアジャストメントが実っているのと同時に、やはりコンスタントに打席に立っていることが現在の好調の要因なのだろう。長いシーズンの中で投打両方の準備を継続する難しさは並大抵ではない。少なくとも現時点では、打者に専念したほうが数字が上がるのは当然だ」

 メジャーのベテランスカウトに大谷の好調の理由を尋ねると、そんなシンプルな答えが返ってきた。右肘のケガのおかげで投手としての負荷がなくなり、指名打者(DH)での出場が多かったアルバート・プホルス一塁手が故障離脱したことで、今ではDH専属でほぼ全試合に出れるようになった。走塁まで含め、今季のベストパフォーマンスを見せているのは偶然ではないはずだ。

 そもそも投手を兼任していた頃なら、右足を軽く痛めていた9日の試合は確実に休養が命じられていたに違いない。出場したとしても、カモシカのような足を生かしたベースランニングは見られなかったはず。しかし、打つだけの”一刀流”にすれば必要以上の制限はかからない。ファンも、大谷のスケールの大きな打撃、走塁(&守備)を、ほぼ毎試合で見ることもできるのだ。

 ただ……これだけ述べてきて逆説的に思えるかもしれないが、「大谷は打撃だけに専念すべきだ」と主張したいわけではない。それだけ、”二刀流”の魅力は誰にも否定しがたい。9日のゲーム前、ホワイトソックスのリック・レンテリア監督が残した次のようなコメントは、多くのベースボールファンの思いを代弁しているようにも思えてくる。

「ベースボールファンなら誰でも、彼のようにエキサイティングな選手を見てみたいと思うはずだ。いずれ腕のケガから回復したとき、彼ほど多くのことができる選手は興味深い。打てて、走れて、投げることもできる。両方をこなせるというとてもユニークなスキルを持っている。今後、彼がどうなっていくかは、いずれ明らかになるだろう」