大谷翔平の課題は腰にあり。名コーチが送る対左投手攻略の意外な助言 (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 左投手に内角を突かれ、外に逃げる変化球で仕留められる。ほぼほぼこのパターンでやられていたわけだが、その理由は腰の開きとともに、長くボールを見られていないことが挙げられる。

 メジャーの投手というのは、日本の投手よりも球速があり、ツーシーム、カットボールといったように球を動かしてくる。打者としては少しでも手元までボールを呼び込みたいのだが、日本と同じタイミングだと差し込まれてしまう。

 とくに大谷の得意なコースは真ん中から外角よりである。ちょうど手が伸びる位置だ。ところが左投手の動く球というのが、大谷のスイートスポットから逃げていく軌道になる。大谷にしてみれば、ストレート系の球と判断して打ちにいったがかわされてしまう。そんな感覚だったはずだ。

 右投手でも、バックドア(外角から内に入ってくる)のスライダーに戸惑うシーンが見受けられる。おそらく、リリースの瞬間はボールと思っていたが、手元でストライクと判断して慌ててバットを出した結果だと思われるが、それだけボールを見る余裕がまだ身についていないように感じる。

 では、どのように左投手対策をすればいいのか。私がアドバイスするなら"イメージ"だ。具体的に言うと、左投手の外角へのスライダー系のボールを想定して、腰を開かず、ショートの頭の上に打つイメージを体に覚えこませるのだ。

「外角は逃げていくボール球が多いから捨てろ」という評論家もいるが、私の考えは逆だ。その球をベースの端で叩く。むしろ、内角の球こそ捨てていいと思っている。

 そうすることでスムーズにバットが出て、打球は左中間方向に飛んでいくはずだ。そもそも好調時の大谷の打球は、センターからレフト方向が多かった。そこに打球がいっているうちは心配ない。ちなみに、ここまで大谷は15本塁打を放っているが、そのうち12本がセンターからレフト方向である。

 もちろん、ライト方向に打つことは悪いことではない。ただ、その方向への打球が多くなるということは、スイングに狂いが生じている可能性が高いということを知っておいてほしい。

 残りのシーズン、左投手相手に逆方向へ強い打球が打てるようになれば、よりいっそうホンモノに近づくだろう。いや、もうすでにホンモノではあるのだが(笑)。

(つづく)

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