メジャー最速170キロも目前。
新・人類最速男の衝撃は大谷翔平級

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 5月21日に行なわれたサンディエゴ・パドレス戦。ソトはメジャー唯一の10代プレーヤーとして6番レフトで初のスタメンに抜擢されます。そして2回の第一打席、ソトは初球に対して迷うことなくバットを振ると、いきなりボールをスタンドに叩き込みました。初球打ちでスリーランを放った衝撃はすさまじく、2012年のブライス・ハーパー以来となる19歳でのホームランとしても大きな話題となりました。

 その後もソトの勢いは止まらず、6月13日にはニューヨーク・ヤンキースとの対戦において敵地ヤンキースタジアムで2本塁打をマーク。「野球の聖地」での公式戦では、1989年に当時シアトル・マリナーズのケン・グリフィー・ジュニア以来となる「10代のヤンキースタジアム本塁打」を記録したのです。

 さらに6月21日のボルチモア・オリオールズ戦では、ついに初の4番にも抜擢。19歳での4番バッターは、1970年に当時ヒューストン・アストロズに在籍していたシーザー・セデノ以来。その試合では8回に決勝二塁打を放ち、またもソトがヒーローとなりました。

 6月29日のフィリーズ戦では、彼自身2度目の2本塁打も記録。これは10代の選手としては、殿堂入りのメル・オット、ケン・グリフィー・ジュニア、ブライス・ハーパーに次ぐ4人目の快挙です。怒濤の快進撃でシーズン前半戦の話題をさらっています。

 ソトがこれほどブレイクするとは、メジャー関係者も予想外でした。ナショナルズの若手有望株ランキングではナンバー1プロスペクトではなかったからです。このように毎年、突如ブレイクするニューカマーが誕生するのもメジャーリーグの魅力のひとつでしょう。

◆デストラーデが語る大谷翔平。「彼の価値はイチローより大きくなる」

◆大谷翔平は巻き返せるか。新人王争いはヤンキースの若き大砲が最有力

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る