Dバックス顧問が分析。関西人・平野佳寿に必要なのは「完璧な落ち」 (2ページ目)

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 ストレートの球速は92~93マイル(約148~150キロ)で、正確無比なコントロールを持っているわけではい。それでも平野がこれほどの結果を残している理由は何なのだろうか。

「一番はフォークの落差でしょう。ストライクゾーンからボールゾーンへしっかり落とせていて、落差も高水準を保っています。それに、ほかのボールよりもコントロールミスが少ない。打たれてしまうときは、低めにコントロールできず、ストライクゾーンに入ったときですね」

 頼みはフォークボールだけではない。NPBで12年、リリーフとして8年間やってきた経験も平野を支えているという。

「対戦を重ねると、フォークに対応する選手も出てきますし、これまで以上に厳しいマウンドになるかもしれません。ただ、そんな状況になっても打者に対してどんどん攻められるだろうし、たとえ打たれたとしてもコンディションを整え、次の登板に向かうことができる。そういうところは、NPBで培った経験が生きていると思います」

 そしてもうひとつ、と小島氏は加える。

「通訳のケルビン近藤さんの存在は大きいですよ」

 ケルビン近藤氏は日系ブラジル人で、日本で野球がしたいと、沖縄のクラブチームでプレーした経験を持つ。ダイヤモンドバックスのスカウトとして活動したのち、昨年末から平野の専属通訳となった。

「日本語はもちろん、英語、スペイン語、ポルトガル語が話せて、中南米系の選手とのコミュニケーションも問題ありません。そしてなにより、彼はとてもナイスガイ。平野はコテコテの関西人なので、真剣ななかにも笑いがある。そんなふたりはウマが合うようで、野球以外の時間もリラックスできていると思います。そういう部分って、とても大切なんです。通訳とうまくいかなくて活躍できなかったケースはいくらでもありますから」

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