あの元巨人のダメ助っ人が、日本での失敗に学びメジャー監督で成功へ (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

「第1にコミュニケーション、第2にコミュニケーション。そして第3もコミュニケーションだ」

 現在はクリーブランド・インディアンスで監督を務めるテリー・フランコーナが、ボストン・レッドソックス時代に"監督にとって大事なもの"についてそう述べていたことがあった。監督への批判は選手起用の失敗などに集中しがちだが、大事なのは必ずしもそこではないという。

 ミリオネア揃いのMLBで指揮を執るにあたり、重要なのは選手と心を通わせる能力。日頃からコミュニケーションをしっかり取っておけば、大胆な投手交代をしても波風が立つことはなくなる。監督としてはルーキーにも関わらず、キャプラーはその真実を確実に理解しているように見える。

「コミュニケーションについて多くのことを学んだよ。相手の話を注意深く聞くことが大事だし、チームメートが何を必要としているかを知ることが重要だと気づいた。日本でそういったことを学んだのは大きいし、今でも役に立っている」

 口先だけではなく、実際にキャプラーが選手たちとの関わりを大事にしていることは明白だ。若い選手には頻繁にテキストメッセージを送り、打撃練習が始まる前にクラブハウスで声をかける。何か伝えたいことがある場合は、メディアを通して話すのではなく、番記者から見えない場所でじっくりと話すという。

 今季開幕直後のキャプラーは、不可解な投手交代を繰り返したことで激しく批判された。3月31日の試合で、ウォームアップを行なっていない投手を起用した事件は大きなニュースとなり、ホーム開幕戦では紹介時に大ブーイングを浴びた。

 しかし、そんな失敗さえも乗り越えられたのは、クラブハウスでの対話を忘れなかったからだろう。開幕当初にブルペンが疲れを感じていた際、チームリーダーのひとりである投手のパット・ニシェクの進言を受け入れ、より多くの休みを与えた軌道修正は高く評価されている。

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