イチローに飛び出した「ホームラン競争出場説」。その背景と可能性は? (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 だとすれば――。長く待望されてきたイベントの実現に向け、今季はさまざまな意味でベストのタイミングにも思えてくる。

 オールスター期間中のアトラクションの中で"目玉"といえるホームランダービーにイチローが出れば、ワシントンDCで開催される夢の球宴の目玉のひとつになる。イチローはスーパースターなので、ブライス・ハーパーに匹敵するような大歓声を浴びるはずだ。やや話題不足のオールスターウィークにもたらす好影響は大きいだろう。

 もっとも、サービス監督の会見後に日米メディアに囲まれたイチロー本人は、「出ないわ、出るか!(笑)」とこの話を一蹴していた。その後に加えた説明は、ベースボールの歴史へのリスペクトを忘れないイチローらしいものだった。

「今年、僕はプレーできないことが確定している。コーチではないけど、選手でもないという難しい立場ですから、なかなかねえ。もし(出場して)勝ちでもしたらMLBの歴史に傷が残りますよ」

 前述の通り、"イチローのダービー参戦待望論"はこれまで何度も出ていたが、ごくわずかながら否定論もあった。根拠を簡単に言うと、「ホームラン打者ではない選手が勝ってしまうと他の選手のプライドにかかわる」といったものだ。

 とくに今季の場合、イチローはもうメジャー登録すらされていない。"半引退状態"の選手がホームラン競争を制するようなことがあれば、他の参加者たちが恥をかくと考える人はいるかもしれない。

 ただ......これはあくまで筆者個人の意見だが、ファンを喜ばせるためのお祭りであるはずのオールスターで、そこまで過度に選手のメンツを考える必要はないのではないか。

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