メジャーデビュー「大谷翔平レベルの衝撃」は、
これまでにあったのか?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 2008年、サンディエゴ州立大学時代に、北京五輪アメリカ代表チームにアマチュア選手として唯一選出されたストラスバーグは、2009年のドラフト全体1位でワシントン・ナショナルズに指名されて入団。1965年に始まったドラフト制度の長い歴史において、ストラスバーグは「最高のプロスペクト(若手有望株)」と称されました。実際、その能力を評価されてドラフト史上最高の4年総額1510万ドル(約16億5000万円)という超破格の金額で契約しています。

 そして2010年6月8日、ピッツバーグ・パイレーツ戦でメジャーデビューを果たしたときは、大谷選手のときと同じように、ストラスバーグのTシャツが球場で飛ぶように売れました。本拠地ナショナルズパークのスタンド全体がすべて背番号37で埋まったほどです。いつもは1万5000人程度の観客人数ですが、そのデビュー戦では4万人分のチケットが完売。ファンがひと目見ようと球場に詰めかけました。

 その期待に応えるべく、ストラスバーグはデビュー戦を華々しく飾ります。パイレーツ打線を4安打に封じ込み、14個もの三振を奪ってメジャー初勝利。デビュー戦で「14奪三振・無四球」というメジャー史上初の快挙も成し遂げました。

 また、ピッチングの内容も圧巻で、94球中36球が時速98マイル(約158キロ)以上をマークし、そのうち2球が100マイル(約161キロ)を突破。カーブも25球投げたうち18球がストライクと、制球力も抜群で全米中が大騒ぎになったのを覚えています。

 その後もストラスバーグの快投は止まりません。デビュー戦から4試合の先発で合計41個もの三振を奪い、あっさりとメジャー記録を更新しました。ストラスバーグの奪三振ショーは見る者を魅了し、彼が先発する試合にはファンが殺到したのです。全米中を巻き込んだ大フィーバーとは、まさにこういうことを言うのでしょう。

 野茂投手やイチロー選手などの衝撃デビューは、みなさんご存知だと思いますので今回は割愛しました。大谷選手の衝撃デビューも今後、ファンの間で語り継がれていくでしょう。この先、さらに彼がどんな歴史を作っていくのか、非常に楽しみです。

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