ケガをしても二刀流。大谷翔平が
メジャー1カ月で見せた前人未到の世界

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 4月27日、ヤンキース戦で放った大谷翔平のメジャー第4号は「衝撃的」と言っても大げさではない見事な一発だった。

4月27日の試合で4本目のホームランを放つも、次の打席で負傷交代した大谷4月27日の試合で4本目のホームランを放つも、次の打席で負傷交代した大谷 打った相手は昨シーズンに14勝を挙げ、今シーズンは名門球団の開幕投手を務めたルイス・セベリーノ。2回の第1打席で投じられたインコースの真っ直ぐは、いわゆる"ミステイク"ではなかった。

「自信を持って要求し、意図した通りのコースに来た。インサイド高めの97マイル(約156キロ)の球を素早いスイングで捉えてしまったのだから、彼を褒めるしかない」

 セベリーノとバッテリーを組んだゲイリー・サンチェス捕手は、この一球が失投ではないことを認めていた。相手のミスを見逃さずに捉えるのが打撃の基本。だからこそ、エースピッチャーが狙い通りに投げ込んだ一球を、完璧な弾丸ライナーで弾き返した大谷の一発はまさに"規格外"だった。

 エンジェルスの一員としてメジャーキャリアをスタートして1カ月。開幕直後の大谷のプレーはすでに常識を超えたレベルにある。

 4月3日から3試合連続本塁打を打ち、投手としても2度目の先発となった4月8日のアスレチックス戦で7回までパーフェクト・ピッチング。世界最高峰のメジャーリーグをいきなり震撼させた活躍は、現実の枠を超え、ほとんどフィクションじみていた。

「このゲームのファンとして、(大谷に)魅了されているよ。打者、投手の両方で技量は飛び抜けている。パワーは紛れもなく本物で、身体能力に秀で、走力もある。投手としても何度かの登板では素晴らしい速球、上質なスプリットを投げていた。南カリフォルニアに騒ぎを巻き起こしているのはわかっている。(大谷の出現は)このゲームにとっていいことだし、私たちが去った後(ヤンキースとの対戦シリーズ終了後)にまた活躍してほしい」

 ヤンキースのアーロン・ブーン監督のそんな言葉は、全米のベースボール・ファンの思いを代弁しているのではないだろうか。

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