イチロー獲得で、マリナーズは「こんなに良いことずくめ」を検証する (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 こういったビジネス面で見逃せないのが、大谷翔平選手のロサンゼルス・エンゼルス入団です。マリナーズはエンゼルスと同じア・リーグ西地区で、今年は年間19試合がスケジュールに組み込まれています。シアトルでは9試合が行なわれるので、イチロー選手と大谷選手が対戦するカードは今年最大の話題となるでしょう。

 そして、個人的に注目している出来事は、本拠地セーフコ・フィールドという名前が今年で終わりということです。地元の保険会社セーフコが20年契約で命名権を獲得したのですが、今シーズンかぎりでその契約が終わります。契約更新はないとのことなので、来シーズンからマリナーズの本拠地球場は違うスタジアム名となるのです。

 セーフコ・フィールドという名前はイチロー選手の活躍によって日本でも広く知られ、非常に馴染みのある球場名のひとつでした。その球場名の歴史とともにイチロー選手も歩んできたといっても過言ではありません。

 2001年のメジャーデビューに始まり、日本人野手として初のオールスター出場、そして2004年のメジャー史上最多シーズン安打達成......。数え切れない思い出がセーフコ・フィールドにはあります。その球場名のラストイヤーにイチロー選手が帰ってきたというのは、なにか運命を感じさせます。

 マリナーズへの復帰によって、イチロー選手のメジャー18年目がスタートしました。これまで多くの記録を塗り替えてきているので、今年もヒットを打つたびにメジャー通算安打や日米通算などが話題となるでしょう。ただ、マリナーズの入団会見で記者から「達成したいことは?」と質問されたとき、イチロー選手は個人の記録には一切触れず、「今まで培ったすべてをチームに捧げたい」という言葉を残しました。

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