ヤンキースで、ダルビッシュ&田中将大「夢のローテ」実現はあるのか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 そんな騒がしい季節を前に、「今オフの散財は避けておきたい」という考えが有力チームにあると思われる。それゆえ32歳のダルビッシュ、30歳のマルチネス、31歳のアリエッタといった選手たちの値段が、これから急落しても不思議はない。うまくダルビッシュ側と交渉を進めれば、「あと2000万ドル程度は余裕がある」と目されるヤンキースの予算内に収まるかもしれない。そんな希望的観測のもとに、ヤンキースはダルビッシュの様子を伺っているのではないかと思う。

 ただ、それでも結局のところ、ヤンキースがダルビッシュと契約する可能性は低い。

 去年のワールドシリーズで痛打されて印象が悪くなったが、昨季も186回3分の2を投げて209奪三振を奪った右腕への評価は依然として高い。近い未来に、再びサイ・ヤング賞争いに絡んでくると見る専門家もおり、そんなピッチャーにはいずれどこかのチームが大枚をはたくはずだ。

 ヤンキースの狙いが3年6000万ドル(約67憶8000万円)程度の契約だとしても、ダルビッシュの値段がそこまで下がるとは考え難い。おそらくヤンキースのフロントもそれは承知していて、獲得に興味を持っているといっても、「万が一のために調査はしている」くらいが現実的なところだろう。ただ......。

「ワールドシリーズに出て活躍したいというのが目標になった。そういうチャンスのある球団がベストです」

 昨季ワールドシリーズで痛打された直後、ダルビッシュは失意の中でそんなコメントを残した。すでに面談したと言われるカブス、アストロズと同様、ヤンキースには来季もプレーオフ進出のチャンスがある。年俸、契約年数といった条件は他より多少劣っても、ダルビッシュ自身がヤンキースのポテンシャルを好んだ場合は、あっと驚く契約が結ばれるかもしれない。

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