大谷翔平はベーブ・ルースになれるか。メジャー史に見る二刀流の苦難 (5ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 2016年4月、レフトを守っていたヒックスのバックホームの球速が105.5マイル(約170キロ)を記録して大きな話題となりました。その強肩ぶりはメジャー屈指で、スイッチヒッターとしての器用さもあるので、あらためてヒックスの野球センスの高さを感じさせます。

 しかし、ここまで紹介してきた4人の経歴を見てお気づきのように、プロ入り前に超人的な能力を発揮して二刀流を実践していた選手たちも、メジャーの舞台にあってはマウンドに上がることができていません。

 かつてのメジャーリーグは、ウィンフィールドほど投打に才能の優れた存在であろうとも、プロに入ったときには必ずどちらか1本にポジションを絞るのが当たり前でした。なぜならば、過去に成功した例がほとんどないからです。この100年間で成功を収めたのは、「野球の神様」ベーブ・ルースのみ。アマチュア時代に投打で活躍しても、プロの舞台で二刀流を成功させた選手は皆無に近いのです。

 1914年、ボストン・レッドソックスのベーブ・ルースはピッチャー兼外野手としてメジャーデビューを果たしました。ピッチャーとして1915年に18勝をマークし、1916年には23勝12敗・防御率1.75で最優秀防御率のタイトルを獲得しています。一方、バッティングでは1918年に初のホームラン王に輝くと、その後はマウンドに上がる回数を減らし、1920年にヤンキース移籍後はバッターに専念。最終的に首位打者1回、本塁打王12回、打点王6回という偉大な記録を残しました。

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