ヤンキース脱落にみる大谷翔平の志向から「地味な2球団」が本命に浮上 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 そもそも大谷本人が「ヤンキースが好きだ」と公言したことは一度もない。東海岸の"金満チーム"は、おそらく大谷の視界に入ってすらいなかったのだろう。メジャー屈指の名門に魅力的な要素が多いとしても、本命という評価は単なる推測であり、周囲がそのブランドを過信したにすぎなかったのだ。

 ここに至るまで、大谷が何を優先してチーム選びをするのかはなかなか見えてこなかった。もう何年か待てば総額1億ドル(約112億円)以上の契約が望めるにも関わらず、現時点で渡米してくることからわかっていたのは、優先事項が"お金"ではないことくらいだ。

「大事なのは、即座に優勝を狙えることなのか、すぐに主役を担えることなのか」

「アメリカ西海岸、東海岸のどちらを好むのか」

「登板時に打席に立てるナ・リーグ、DHのあるア・リーグのどちらが希望なのか」

「日本人選手がいるチーム、いないチームのどちらが居心地がいいのか」

 これらの問いへの答えがまったくなかったがゆえに、大谷の行き先は今オフ最大のミステリーになったのだった。しかし、ヤンキースをはじめとする複数のチームが弾き出されたことで、ようやく大谷の望むものが見えてきたように思える。

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