へっぽこ球団と見せかけ4年で世界一に。アストロズGMが使った魔法 (5ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そしてもうひとつ、ルーノウGMの手腕として見逃せないのが、「タンデンシステム」の採用でしょう。タンデンシステムとは、1試合を5回と4回に分け、ふたりの投手に長いイニングを託す継投策です。プレーオフに入ってブルペンが崩壊してしまったため、ルーノウGMとA.J.ヒンチ監督はこのシステムこそがピンチを切り抜ける最善策と考えたのです。

 その狙いは、ワールドシリーズ進出を賭けたリーグチャンピオンシップシリーズ第7戦で見事に成功しました。先発したチャーリー・モートンが5イニングを2安打で投げ抜き、2番手のランス・マッカラーズ・ジュニアも4イニングを1安打。ヤンキースに1点も与えることなく、ふたりの継投策でリーグ優勝を果たしたのです。

 さらにワールドシリーズでも、タンデンシステムは功を奏しました。第3戦では先発したマッカラーズが5イニング3分の1を投げ、マウンドを引き継いだブラッド・ピーコックが残りイニングを最後まで投げ抜いて勝利。そして大一番の第7戦でもマッカラーズに先発させたあと、6回以降はモートンが1失点の好投でドジャース打線を抑え込み、アストロズは球団初の世界一となることができたのです。

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る