へっぽこ球団と見せかけ4年で世界一に。アストロズGMが使った魔法 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 具体的にいうと、ルーノウは球団にあらゆる分野の専門家を招き入れました。エンジニア、コンサルタント、データ科学者、物理学者......。他球団にはない発想で新たな人材を次々と招聘し、まったく新しい選手評価システムを構築したのです。また、ドラフトでもそのデータをフル活用し、違った視点から選手を選考していったと言われています。

 GMに就任した当初を振り返り、ルーノウはこのように語っていました。

「まずは勝つ方法を探すのではなく、負ける方法を選択した」

 その発言の真意とは、最初の2〜3年は負けることを覚悟し、長期スパンでチームを立て直す手法を選択したということでしょう。アストロズというチームは資金力がないため、ルーノウは負けを覚悟で選手の人件費を抑えることから着手しました。そしてそのあまった財源を、資金効率の高いファームの充実やデータ分析システムの構築に充てたのです。

 人件費を抑えた結果、2013年のアストロズの年俸総額はメジャー30球団中最低の約2700万ドル(約28億円)。チーム成績は2012年に107敗、さらに2013年は球団ワースト記録の111敗を記録しました。ルーノウは「負ける方法を選択」し、チーム再生に向かっていったのです。

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