ダルビッシュ炎上、前田健太ロングで負った、ドジャースの傷を考える (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 打順は先頭に戻り、迎えたスプリンガーは二塁ライナー、2番のアレックス・ブレグマンはセンターへの犠牲フライでやっと2死を奪うが、この2本の打球もバットの芯で打たれたもの。結局、3番のホセ・アルトゥーベに左中間2塁打を打たれて降板するまで、この回はほぼすべての打者にきれいに捉えられた。

「有は感覚がつかめず、リズムを見出せていなかった。アウト5個で0-4とリードされ、ブルペンに後を託すしかなかった」

 2回途中に早くもダルビッシュを交代させたことを問われ、デーブ・ロバーツ監督はそう説明した。実際には4点で済んだのはラッキーだったし、逆にあの段階まで続投させたことが不思議に感じられたほどだった。試合はこの2回のビッグイニングが決め手となり、ドジャースは3-5で手痛い星を落とした。

 この日のダルビッシュの投球内容を振り返ると、にわかには信じがたい数字が並んでいる。10人の打者に対し、6安打、1四球。49球を投げて奪った空振りはわずか2球(そのうち1球はバント失敗)だけ。シーズン中の9月13日以降の5試合では、31回3分の2を投げて自責点は3だったのが、27日は1回3分の2で自責点4を許した。

 打球の速さを測る指標として用いられる「Exit Velocity(打球の初速度)」を見ても、2回表のグリエル(104マイル)、ゴンサレス(99)、スプリンガー(105)、ブレグマン(103)、アルトゥーベ(108)の打球はすべて100マイル前後という速さ。これらの数字からは、このイニングのダルビッシュはアストロズ打線に文字通り"完璧に捕まっていた"ことが見えてくる。

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