田中将大、NYでも「神の子」に。敵地ヒューストンでの救援登板はあるか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 今プレーオフでの田中は3試合で20イニングを投げて2失点。18個の三振を奪い、防御率は0.90と絶好調だ。ここまでくれば、気の短いニューヨーカーも、もう田中に全幅の信頼を寄せているだろう。

「自分のやること、やらなければいけないことを明確にしているというのが一番。シンプルに考えて、自分の持てる力を全て出し切ることだけ」

 試合後、田中は迷いのない表情でそう語った。この試合で、過去2度のプレーオフでの対戦でいずれも敗れていたカイケルに初めて勝利したことも、本人の気持ち的には大きいはずだ。

 シーズン前半から続いた波の激しさも今は昔。紆余曲折を経て、背番号19は最も大事な時期に計ったように心身のピークを持ってきた感がある。

「(田中の投球は)特別だった。彼のプレーオフでの3度の登板はすべて特別。私たちにはそれが必要だった。重要なゲームだったからね」

 ジョー・ジラルディ監督もそう目を細めたが、ヤンキースの首脳陣は、今ならチームの命運をかけたゲームに躊躇(ちゅうちょ)なく田中を送り出すはずである。ただ......ここで気になるのは、今季中に田中が再び大事なマウンドに立てるかどうかということだ。

 ポストシーズンに入って劇的な勝利を続けるヤンキースは、"運命のチーム(Team of Destiny)"らしい雰囲気を漂わせ始めている。地元ファンの熱烈なサポートもあって、今プレーオフではヤンキースタジアムで6戦全勝。第3戦から第5戦では観客も大盛り上がりで、かつての熱狂がニューヨークに戻りつつある。

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