田中将大の次なるミッションは「小さな巨人と因縁の投手」を倒すこと (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 ただ......田中の頑張りは見事だったが、それでもヤンキースは勝てなかった。田中は4回1死までを無安打に抑えたものの、その後、ホセ・アルトゥーベ、カルロス・コレア、ユリエスキ・グリエルの3本の単打でアストロズが2点を先制。この4回にすべての得点を奪い、第1戦はア・リーグ中地区の王者が2-1で先勝した。

 2009年以降ではメジャー最多となる、シーズン896得点を叩き出したアストロズ打線。18本塁打以上の選手が7人というパワーが特筆されがちだが、三振率17.3%がメジャーで最も低い数字であることも忘れてはいけない。今シーズン178回3分の1で194三振を奪った田中相手にも3三振しか喫せず、こつこつとバットに当て、4回裏は数少ない失投も見逃さなかった。

 特に、ア・リーグMVP 候補筆頭と目されるアルトゥーべの魅力が遺憾なく発揮されたゲームでもあった。2年連続で24本塁打以上を放ち、6年連続30盗塁以上を達成してきた27歳のベネズエラ人は、快調なピッチングを続けてきた田中から4回にチーム初安打。すかさず盗塁を決め、コレアのレフト前タイムリーを誘発した。

 メジャーの現役選手の中で最も背が低い選手でありながら、走攻守すべてを兼ね備えた"小さな巨人"。今シーズン、打率.346、24本塁打、32盗塁をマークしたアルトゥーベは、この日の3安打も含め、ポストシーズン突入以降は19打数11安打、3本塁打、1盗塁と絶好調が続いている。

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