シーズン最後に15奪三振。プレーオフでも「グッド田中」になれるか (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 29日の試合後に、田中は2試合でのメンタル面の違いを強調していた。よりアグレッシブに"攻め"のピッチングを心がけた結果の快投。そんな姿を取り戻せたのだとしたら、来週から始まるプレーオフに向けて心強く思えてくる。

 今季の田中が、厳しいシーズンを過ごすなかで完璧に近い投球を見せ、完全復活を感じさせたのはこれが初めてではない。4月27日のレッドソックス戦での完封劇、5月26 日のアスレチックス戦での13奪三振、ダルビッシュ有との投げ合いとなった6月23日のレンジャーズ戦での8回無失点、14奪三振で地元ファンを魅了した7月28日のレイズ戦など、好調時には圧巻のパフォーマンスを披露してくれた。

 また、シーズン中に1試合14奪三振以上を2度もマークしたのは、ヤンキース史上で田中が初めて。今季に15奪三振以上を挙げた投手となると、メジャー全体でスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)と田中だけである。これらの記録は、28歳の日本人右腕が、依然としてトップクラスの力を保っていることを示している。

 ただ......。今季の防御率は4点台後半。その数字は、冒頭のスターリングの言葉通り、好不調の波が極めて激しかったことを物語っている。目の覚めるような快投があった一方、自責点7以上を許したゲームも5戦あった。直近5戦の自責点の推移も「1-7-2-7-0」と、振れ幅が大きかった今季を象徴している。 

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